「シーズンプライス」の試験導入です。
具体的には、当劇場で公演の少ない「春」を割引し、公演の過密な「秋」を割増します。これは劇場の公式な仕組みとしては、国内ではほぼ前例の無い試みだと思います。
●春シーズン2018年4/2(月)〜5/6(日)/5週
劇場使用料金-5%(割引)
(連続5日間以上使用の場合は-8%に割引率UP)
●秋シーズン2018年10/1(月)〜11/11(日)/6週
劇場使用料金+3%(割増)
(連続5日間以上使用の場合は±0%で通常定価)
※1st・2ndの両方に適用されます。
※劇場使用料金とは基本使用料・機材費・管理人件費の税抜き総額です。
※割引・割増後の総額に消費税(現行8%)が加算されます。
※既に本契約済みの公演には、使用者に有利になる場合のみ適用となります。
※上記の日程に一部公演日程が重なる場合には、重なる部分のみ適用されます。
※火曜日のゲキジョウなど、別設定されている割引プランとは併用されません。
※2018年度の暫定ですが、結果を精査し継続運用を予定しております。
※このシステムは本日発表以降、即座に適用されます。
□実例□
●春に2ndを木〜日の4日間使用
通常定価:440,000円(税込475,200円)
↓↓
5%割引適用:418,100円(税込451,440円)=23,760円お得!!
●秋に1stを金〜日の3日間使用
通常定価:190,000円(税込205,200円)
↓↓
3%割増適用:195,700円(税込211,356円)=6,156円割増
●春に1stを水〜日の5日間使用
通常定価:286,000円(税込308,880円)
↓↓
8%割引適用:263,120円(税込284,169円)=24,711円お得!!
●秋に2ndを木〜日の5日間使用
通常定価:525,000円(税込567,000円)
↓↓
割増されず定価適用:525,000円(税込567,000円)
本件に関して、ご不明の点は劇場メールアドレスまでお問い合わせ下さい。
シーズンプライスの導入に当たって
(長い文章になりますが、インディペンデントシアターを応援して下さる利用者や観客の皆様には是非お読み頂きたいです。)
劇場運営を始めて18年。劇場使用料の設定は、他劇場や演劇・経済環境の動向、そして当劇場の設備状況や制作サービス等を含めて多面的に検討・設定し、何度か改めて来ましたが、常に考えていたのが「交通機関や宿泊施設は、繁忙期や閑散期で料金の設定が違うのに、劇場は固定で良いのだろうか?」という事です。
劇場にも、確実に利用率の高い時期と低い時期があります。そしてそれは、演劇環境で言えば、公演の多い時期と少ない時期という事にもつながります。
いち劇場の問題だけでなく、公演が供給過多な時期が偏るよりも、一年間にわたってまんべんなく魅力的な作品が提供されている方が観客にとっても望ましいと思います。(特に関西では近年公演が重なり過ぎて、観たい作品を全て見ることが出来ないという声もあります。)
当劇場で言えば、4月頭からGW明けまでは、稼働率が圧倒的に下がります。理由は明白で関西の演劇環境でいうと社会人比率が高く、人事異動や年度初めである4月に落ち着いて稽古・公演をすることが難しい。また助成金も取得の可否が明確にならないタイミングであり、GWは帰省や他のレジャー(関西に限れば多数の劇団が参加するABC中之島春の文化祭の影響も大きい)などで集客に苦しむ事が多いという事があります。
逆に秋は、ほぼMAXの稼働率になります。文化の秋といったイメージはもちろん、気候も落ち着いて稽古・公演に集中しやすく、天候の心配も少ない。仕事や学業も落ち着いている時期なので、当然かと思います。
この春と秋の稼働率差は、当劇場では3倍ほども開きます。(恥を忍んで告白すれば、今年2017年春の6週間での1st稼働は1週だけです…)これは偶然春に大きな公演が入ったような場合を除いてほぼ17年間同じ動向です。劇場としては、この状況をこれ以上放置し続ける事は無意味だと考えますし、先ほどのように年間に渡って魅力的な作品を提供し続ける事こそ、劇場の使命の一つだと考えます。
ですので、かなりリスクの高い判断でしたが、このシーズンプライスの試験導入に踏み切ります。
交通機関や宿泊施設がシーズンで価格が異なるのは繁忙期と閑散期、つまり利用したい人が多い時期と少ない時期=市場のニーズに合わせている訳です。劇場の設備自体は季節で変わりませんが、利用のニーズはこれらと同じように異なっています。社会や経済の文脈では、この劇場のシーズンプライス導入は本来当たり前の事だと思うのです。
また、劇場のスケジュールが空いてしまっている時に、ディスカウントして貸し出しをするような例があるかと思いますが、インディペンデントシアターは、過去17年間そのような理由で劇場費を割り引いた事は一度もありません。それは、早くから劇場を押え、きちんと定価を支払って劇場を使って下さるお客様に対して不誠実な事だと私たちは考えるからです。正直安くしても使ってもらった方が劇場は助かります。誰も使っていなくても家賃などの固定費は発生し続けるのです。だから他の劇場を批判するつもりは全くありません。ですが、インディペンデントシアターのポリシーには反するのです。
さらに、当劇場の使用料は、利用者の皆様からすると決して安くは無いかもしれませんが、劇場として存続できる底値を定価とする企業努力を行っています。つまりここから割り引くことは、劇場にとって大きなリスクを伴うものですが、それでも可能な限り多くの方に劇場を使って頂き、劇場で多くのお客様に楽しんで頂く方向にチャレンジしたいと考えています。
お気づきのように、春の割引率の方が秋の割増率よりも高いのです。秋の割増に関しても5日以上の利用では割増しになりません。秋にはなるべく長い公演日程で多くのお客様に作品を見て頂ける事を重視する方針からです。これが、当劇場の経営努力でありポリシーです。
是非、このシステムを利用して「少しでも安く使えるなら春公演を少し前倒ししよう!」「どうせ秋の公演で割増になってしまうなら、使用日程を1日伸ばして、もっと沢山のお客様に見て貰う努力をしよう!」など、劇団の公演時期や制作方針を見直すキッカケにもなればと思います。
このようにシーズンプライスの導入は、劇場稼働状況のバランスによっては経営に打撃が出る可能性もある、かなりリスキーなものです。それでもインディペンデントシアターは踏み切ります。当劇場が20周年を迎えたあと…、このあと5年や10年、さらにその先の演劇環境がより良くなっているために。
暫し安定志向に見えていたかもしれませんが、「日本一アグレッシブな劇場=インディペンデントシアター」のポリシーは揺るがず、新たな挑戦を開始いたします!
皆様のご理解とご協力を切に願います。
インディペンデントシアター劇場プロデューサー:相内唯史