コロナ禍の中で、みなさん大変な状況が続いていると思いますが、いかがお過ごしでしょうか?
今は、何よりもみなさんが健康であることを祈るばかりです。
この数年、お陰様でインディペンデントシアターは1stと2ndの2つの劇場でほぼ毎週のように公演やイベントがあり、火曜日のゲキジョウという平日企画まであるものですから、お使い頂く劇団や関係者の方々、そしてご来場頂くお客様に会わない日は無いというのが日常でした。正直、人に会い過ぎて疲れたと感じる日があるくらいでした。
劇場の扉を閉ざしている今、その日々が劇場や自分にとってどれほど貴重で、ありがたいものだったかを日々思い知らされています。
よろしければ、劇場一時休館のお知らせもご参照下さい。
http://i-theatre.seesaa.net/article/474626267.html
この度、インディペンデントシアターは、2017年の活動開始より参加していた「全国小劇場ネットワーク」が行うクラウドファンディングに参加し、みなさまに当劇場への支援をお願いしたいと考えています。

ここから、このコロナ禍の中で考えた事、再確認したこと、この先の「再開」に向けて今思っている事などを書いていきます。
膨大な文章となるため、先に皆様にお願いしたい支援を箇条書きにします。両方でもどちらかでもご協力頂けたら嬉しいです。
(1)クラウドファンディングを通じて寄附する
インディペンデントシアターを支援したいとお考え頂ける方は、是非クラウドファンディングに寄附して下さい。金額の大小は関係なく、観に行きたかったけど延期になったチケット代の分など、可能なお気持ちで結構です。金額よりも今、当劇場や小劇場を応援したいという方々との繋がりを確かめたいという思いが強いです。
(2)クラウドファンディングの情報を拡散する
このクラウドファンディングの情報や、インディペンデントシアターが支援を必要としている事をSNSなどでお伝えください。一度だけでなく、ご迷惑にならない範囲で、何度か発信して頂けたら嬉しいです。こちらで発信する情報をリツイートして頂くだけでも助かります。
クラウドファンディングの詳細は、下記のプロジェクトページをご覧下さい。
https://readyfor.jp/projects/shogekijo-network
それではここから、インディペンデントシアターが今なぜ支援を必要としているのか、そして劇場を「再開」していく事への思いを書いていきたいと思います。
インディペンデントシアターは、劇場を新築するくらいだから懐事情には余裕があると誤解されているかもしれませんが、そんなことはありません。むしろ新築の為に莫大な融資を受けているため、今後何十年も返済していかなくてはならず、4月から6月までの3か月間一切収入が無いだけでも深刻なダメージを受けています。
さらに新型コロナで停滞してはいますが、新2ndの新築プロジェクトも継続して進行中です。(こちらは今後別途ご案内いたします。)
劇場の運営継続に関して、これまでにない赤寄りの黄色信号がともっています。
何度も倒れかけたインディペンデントシアターが「それでも劇場を続けていくのだ!」という宣言の一つが昨年の新1stの新築、そして今年の新2ndの新築でした。バラ色の未来を夢見たのではなく、これまで以上のいばらの道を血を流しながら裸足で踏みしめていく覚悟ではいましたが、こんな現在は想像外でした…。
それでもインディペンデントシアターは「劇場」を続けていきます!
インディペンデントシアターは、劇場を単に創り手(劇団)に貸し出し、作品を上演してもらうだけの場所ではなく、劇場も創り手の一人として、共に作品や公演を支えていく存在でありたいと考え、日々の劇場運営はもちろん、劇場自身が主体となる劇場プロデュース作品の製作や、演劇初心者でも劇場を使い易い仕組みとしての「火曜日のゲキジョウ」、新しい観客との出会いや自らの力を試したいと考える地域の劇団の大阪公演支援など、その時々に合わせた形で、劇場のあるべき形を模索してきました。
胸を張って自信作だと言える企画やアイディアは継続し、結果を出せずに終了した企画も山ほどあります。そうした自身の取り組みに誇りをもってこれまで劇場を続けてきました。
そして、全国には同じようにそれぞれの地域で地域の創り手と共に闘っている民間小劇場があります。
インディペンデントシアターは、劇場関連企画である最強の一人芝居フェスティバル「INDEPENDENT」や他地域から当劇場を使ってくれる劇団との関係性の中で、そういった地域の劇場とも出会い、協働してきました。
さらに全国小劇場ネットワークに参加することで、その範囲はさらに広がり、僕自身まだ訪れたことの無い劇場とも、このネットワークを通じて情報や意見を交換し、時には酒を酌み交わしてきました。
特に今回の新型コロナ禍の中でのオンラインミーティングは、より深くお互いの劇場を知り、それぞれが大切にしている事の共通点や違いを知り、それを認め合い、共に目指せる未来を探る、非常に豊かでヒリヒリした時間でした。
出来る事が限られている今の環境の中で、この議論は劇場を守っていく事の支えになりました。
そうして形づくられたのが、今回の劇場「再開」支援のためのクラウドファンディングです。
この「再開」支援は、単に今の劇場の窮状を支えるだけでなく、今後も劇場がそれぞれの地域に存続し、地域の創り手と手を携えて創作と公演の場を守り、さらに全国と繋がり、より豊かな演劇と劇場の未来を目指すためのものです。
緊急事態宣言の解除などで、条件付きで劇場が「再開」していきますが、そこには沢山の新たにクリアしなくてはいけない課題があります。感染拡大防止のためのガイドラインに添うことは言うまでもなく、感染防止の為の衛生用品を確保し(いまだに手に入れづらい状況が続きますね…。)消毒や検温などを適切に実施していく事、三密状態を避けるために客席数減少する事に付随して発生する諸問題をどのように解決するか、etc…。
これらの課題に、これからそれぞれの劇場が地域の実情に合わせて一つ一つ取り組んで行きます。元々資金やマンパワーに限りのある民間小劇場にとって、これは大きな負担となります。そこへの支援をお願いしたいというのが、このクラウドファンディングの基本的な趣旨です。
多くの皆様が徐々にお気づきになっているように、この状況はここからまだ長く続くと考えられます。
簡単にこれまでの劇場と演劇の日常が戻ってくるわけではありません。
僕はこの新型コロナ禍は、劇場の在り方を変える大きなチャンスだと思っています。(というかそうポジティブに思わないとやってられませんww) これまで約20年の劇場運営の中で考え続け、部分的に実践し、それでも答えを出し切れなかった、劇場と利用者の関係性や劇場が提供する空間以外の価値や役割といったものを、今こそ一歩押し進める時だと考えています。
正式なご報告までにはまだ少し時間がかかりそうですが、インディペンデントシアターはまた少し変わります。
そして、全国小劇場ネットワークは、このクラウドファンディングの為に立ち上がったのではなく、それ以前から活動を重ねる中で、劇場の在り方の一つの変革として、既存の助成金や公的支援に頼った劇団主体のツアーではなく、このネットワーク自体が主体となって、選んだ作品をネットワークで巡演するような新しいツアーやマーケットの仕組みを実現しようと動いていました。
この仕組みが実現すると、地域の劇場と劇団はタッグを組んで、他の地域や劇場が推薦する作品と切磋琢磨し、負担の無い全国ツアーを目指すことが可能になります。単独の劇場・単独の劇団・単独の地域では困難だったことが、このネットワークならば実現できるかもしれない。
それは、それぞれの地域で作品を楽しみに待つお客様にも、これまで以上に新しい作品や才能との出会いを生むはずです。
僕は、この全国小劇場ネットワークが、これから始まる劇場の「再開」の、さらに先に目指している未来、にベットして(賭けて)欲しいと思うのです。
いま、世界中が大変な中、それぞれの生活やお仕事にも影響がある中で、支援して欲しいとお願いする事はとても心苦しいです。
インディペンデントシアターはその名の通り、独立してそこに在り続ける事がポリシーです。「だったら自力で」と言われるのも承知の上で、今回はご支援をお願いしたい。
インディペンデントシアター( in→dependent theatre )の名前は、既成概念やこれまでの演劇界の常識といったものから「独立」し、それに縛られない劇場「独自」の価値観を打ち立てる事を意図し、また「in→」とあるように創り手と観客の双方が表現の世界に入っていくスタートラインを支える劇場であるという表明です。
劇場も人もただ一人で生きていく事はできません。この信念を支持してくれる、この劇場に期待してくれる創り手やお客様と一緒に前に進んで行きたい。
いま、その繋がりを確認させてほしい、信じさせて欲しいと思っています。
劇場の入口に立って、来られるお客様に「いらっしゃいませ〜」と明るく声をかける事の出来る日を心待ちに、「再開」の準備を始めます。
2020年5月21日 インディペンデントシアター劇場プロデューサー:相内唯史