2024年09月18日

インディペンデントシアター首都圏進出のお知らせ

この度、インディペンデントシアターグループ(有限会社ジャングル)は、2025年4月より、東京都北区の王子小劇場さんの劇場運営を引き継ぎ、首都圏での劇場運営に進出します。
これは、意図して進めて来た計画ではありませんが、インディペンデントシアター運営開始時から将来的に描いていたビジョンの一つであり、今回、王子小劇場さんから運営に関するご相談を頂いた時、今がその挑戦のタイミングだと確信しました。

王子小劇場さんは、運営資金の限られた民間劇場でありながら、若手の支援・発掘に積極的な劇場で、貸館の運営だけでなく様々な自主事業を展開している点など、我々インディペンデントシアターと共通する部分が多く、「東のたたかう劇場=王子小劇場」と「西のアグレッシブな劇場=インディペンデントシアター」として、2012年の佐藤佐吉演劇祭では提携企画を実施したこともあり、我々としては、それぞれ別の地域やフィールドで共闘してきた戦友という意識があります。

この近いものを持ちながら、性格の異なる二つの劇場が一緒になることで、それぞれの強みや培ってきた歴史を共有し、東西の演劇文化を融合させ、これまで以上に利用者・来場者に愛される劇場を目指していく事が出来ると確信しています。
具体的には、王子小劇場で実施されてきた多くの自主事業は可能な限り継続し、劇場職員自身がクリエイターである事の強みを生かしたカンパニーとの関係性の構築を重視。そこにインディペンデントシアターの強みである効率的でコンパクトな劇場運営のノウハウとテクニカルサポートの充実を導入し、利用者の皆様にはよりリーズナブルで利便性の高い、設備の整った劇場を提供していけると考えています。つまりざっくりと言えば、ソフト面に強い王子とハード面に強いインディペンデントシアターのハイブリットが東京で実現します。

また今回の決断には、今年5月に閉館した「こまばアゴラ劇場」の影響も少なからずあります。
関西圏の多くのカンパニーが首都圏での公演を目指す時にその選択肢としてまず名前が挙がるのが、こまばアゴラ劇場と王子小劇場でした。多くのカンパニーがインディペンデントシアター(1st・2nd)とこの2つの劇場でのツアーで東京公演を実現して来ました。この流れが失われてしまうことは、当劇場にとっても関西や首都圏の演劇環境にとっても大きな損失だと思います。
インディペンデントシアターが王子小劇場の運営を引き継ぐ事で、東西に同グループ=同じ運営コンセプトを持つ劇場が誕生する事となり、カンパニーにとっては運営形態や機材環境などが近い劇場同士でシームレスな東西ツアー公演を実現することが可能になります。当劇場にとっても、東西両劇場のシナジー効果を最大限に生かし、東西で活躍の目立ってきた新たな創り手を早い段階で地域に紹介し進出する機会を作る事が可能となり、インディペンデントシアターが東西小劇場の「FRONT LINE=最前線」を繋ぐ存在となる事を目指します。

インディペンデントシアターは2000年の劇場運営開始から、四半世紀を経て、おそらく民間小劇場では前例のない同一運営会社による東西両劇場の運営を開始いたします。開始時からのコンセプトの一つである「次世代のクリエイターを世に送り出す劇場」を東西でさらに押し進め、その波及効果を全国に展開していきたいと考えています。

インディペンデントシアター・劇場プロデューサー:相内唯史


P.S.
旧2ndをオープンして以降、「3rdはいつどこにどんなサイズで作るの?」という冗談のような質問が度々演劇関係者から投げかけられました。その都度「もう大阪にこれ以上インディペンデントシアターは要らないよ〜」とはぐらかしてきましたが、それは本心であり、同時に「大阪以外にはいつか建ててやる!」と自分の心の中だけで誓っていました。
東京や他地域から大阪に来るカンパニーに「うちの地域にもインディペンデントシアター(のような劇場)があったらな〜」とたびたび言って頂く事もその思いをより強くしてきました。
関西圏の限られた演劇シェアの中では、これ以上自グループの劇場を増やしても互いに食い合うだけです。その点、他地域に劇場を持つことは、新たな顧客の獲得であり、うちにとってはシェアの拡大が可能です。もちろんその地には既に他に同業のライバルがいる訳で簡単な話ではありませんが、心おきなく暴れられる新たなフィールドです。
「3rdはいつどこに?」に対する、これが応えです。インディペンデントシアターはチャンスとみれば何処にでも闘いに行きます。インディペンデントシアターのキャッチコピーは「日本で一番アグレッシブな劇場」
旧2ndをオープン以降、2館体制を軌道に乗せるために守りが中心になりアグレッシブさが足りませんでした。新1st、新2ndの新築移転で外からはアグレッシブに見えていたかもしれませんが、僕からするとそれは守り。1+1が0+0になりそれを1+1に戻しただけ。現状維持に過ぎません。本当の攻勢はここから始まります。1+1+1がさらにその先に、全国に続くのか?!
2劇場を新築した事で、インディペンデントシアターの経営資源には余裕があるように見えているかもしれませんが、全くもってそんな事はありません。今回の+1はまさに背水の陣です!大阪でも東京でも、インディペンデントシアターを使ってくれる、応援してくれる皆様の力だけが、我々の経営資源です。これまで以上の応援をよろしくお願いいたします。


※「王子小劇場」側の発表はこちら!

なお、この件に関する王子小劇場×インディペンデントシアター合同のトークイベントを王子小劇場のYoutubeLiveにて9/19(木)20:30〜配信します。今回の経緯や今後の展望などをお話したいと思います。
「インディペンデント王子爆誕記念配信!!」
お時間ございましたら、是非ご覧ください。質問などに答えるコーナーも予定しています。


[プレスリリース]

2025年4月から「王子小劇場」の運営を佐藤商事株式会社から有限会社ジャングルが引き継ぎます。
王子小劇場の持続的かつ発展的な運営のために

この度、佐藤商事株式会社は、「王子小劇場」(東京都北区)の運営を、2025年4月1日より有限会社ジャングル(大阪府大阪市)のインディペンデントシアターに引き継ぐ事を決定いたしました。
1998年7月に開館した王子小劇場は、若手演劇人支援や特色豊かな自主事業で、首都圏の演劇シーンの中でも独自の存在感を示してきました。
一方のインディペンデントシアターは2000年10月に劇場(現インディペンデントシアター1st)の運営を開始し、これまでリノベーションから設計新築まで、関西で4つの劇場を設立運営してきた実績を持っています。
今回の引継ぎをもって、「王子小劇場」運営の主軸はインディペンデントシアターへと移りますが、現王子小劇場の運営スタッフや設備も引継ぎ、これまで培われてきた歴史やノウハウを継承しつつ、部分的な改修や機材の入れ替え、関西方式の利用者重視の運営方式などで、より利便性が高く高機能な劇場に進化させ、リーズナブルに提供して参りたいと考えております。

2025年4月以降の劇場利用システムや、機材・設備、料金体系などは今後の発表をお待ち下さい。(2025年4月以降の利用予約も仮予約として随時受付しております。)
利用料金等に関しましては、現行の水準を可能な限り維持しつつ、支払いタイミングや方法などで、より使いやすく改善したいと考えています。
また、東西に同じ運営会社の劇場が誕生することで、東阪に限らず全国から小劇場ベースでのシームレスな公演ツアーの実施が可能となります。全国の演劇関係者に東阪での豊かな公演機会を提供できると考えています。

なお、劇場の名称は「インディペンデントシアター王子」(仮称)を候補として検討しております。

引き続き、王子小劇場・インディペンデントシアターのご利用、ご支援をよろしくお願いいたします。

posted by アイウチ at 20:00| 大阪 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | お知らせ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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