現在のインディペンデントシアター1stは、
2018年12月末をもちまして閉館いたします。18年に渡るご愛顧、ご来場、ご利用を心より感謝いたします。
そして、インディペンデントシアター1stは、2019年初夏に、
完全新築にて移転再オープンいたします。
●現1st:〜2018年12月末、公演は12月中旬まで
●新1st:近日建設開始、2019年6月稼働開始予定●新1stについて現在お伝えできる事・基本は現1stのスペック・機能を引き継いだ劇場
・名称はin→dependent theatre 1stのまま、ロゴデザインだけ一部変更予定
・標準舞台が間口奥行とも今より少し広くなる
・タッパ(バトンまでの高さ)が現在よりも少し高くなる
・舞台面がかなり観やすくなるが客席数が少し減る
・1F劇場、2Fロビー&楽屋、3F劇場事務所&稽古場兼倉庫の3F建て
・トイレがエントランスとロビーに配置され男女別、開場前使用可能に
・恵美須町駅から少し遠くなり、日本橋駅と南海なんば駅はかなり近くなる
・従来の賃貸ではなく、土地から購入し建物を建て運用する完全新築の自社物件
・用地取得が完了し、建築申請が最終段階で近日着工
・キャパ100以下では、日本最上級の使い勝手を目指す
・稼働開始が確実な7月以降の公演はご予約可能です
・稼働開始タイミングとなる6月の利用は応相談となります
・「火曜日のゲキジョウ」6thシーズンは、2月開始を延期し6月開始とします
以上、重要なことを箇条書きいたしました。
以下、長くなりますが閉館に至る経緯や、これまでの流れ、新しい1stへの想いなどを綴りたいと思います。ご興味ございましたら是非お読みください。
インディペンデントシアター1stは、2000年2月27日のイベントフロアとしてのオープンからは6876日(18年9か月28日間)。同年10月14日の劇場こけら落としからだと
6646日(18年2か月11日間)の歴史を刻んで閉館をむかえます。正直建物や施設の老朽化も進んでいましたので、20周年目途の移転を目指してそろそろリサーチをというタイミングでした。
インディペンデントシアターは
「ハードである劇場としては最低20年は続かないと恥ずかしくてお祝いなんて出来ない」という僕の考えの元にこれまで一切周年記念事業をして来ませんでした。何とかこの場所で20周年のお祝いをしたかったのですが、残念です。
閉館の経緯ですが、経営状況などの理由ではなく(とはいえ決して経営状況が良いわけではないのですがww)、
土地および建物の所有者が、物件を売却する為です。現在日本中が、インバウンド及びオリンピック需要により、土地の売買や建設ラッシュが続いています。我々には関係ないと思われていたこの流れに完全に飲み込まれました。(ここ数年で1st近郊の色々な建物が建て替わっているのを劇場に良くお越しの皆さんならお気づきかと思います。)
昨年の秋、急にこの話が持ち上がり、当初2018年初頭までに退去せよとの要求がありましたが、既にご予約完了している2018年内の公演を完遂すべく、弊社顧問弁護士にも協力頂き、粘り強い交渉を続け、度重なるピンチをスレスレでかわしきって、何とか2018年末までの営業を確保いたしました。(昨年12月〜今年1月にかけてはマジでヤバい状況でした。年末年始にかけての劇場のいくつかの変化にお気づきの方は、察して下さいww)
退去の話が持ち上がったタイミングより、
移転継続の方針で、物件を探して来ましたが、サイズや建築年数、設備、立地、費用、興行場申請、消防申請、等
全ての条件をクリアできる物件を見つけることは極めて困難でした。候補となった物件では、すぐに改装して劇場化することが可能かを検証する仮図面を作成しました。僕が引いた仮図面の数は十数枚に及びます…。
そうして時間と労力をかけながらも、求める物件に至る事は出来ず、このまま1stは閉館に終わってしまうかという状況の中で、弊社社長よりまさかのプランが浮上しました。
「既存物件でどうしても条件に合わないのであれば、ゼロから条件に合う劇場を新築してしまうしか無いのではないか?」確かにその通りですが、改装どころではない莫大な費用とリスクを負う事になります。
ここで、事情をご存じない方に簡単に説明すると、インディペンデントシアターは、有限会社ジャングルという演劇とは別業種の法人が経営しており、劇場プロデューサーの僕は、社員としてその運営を一任されています。「当社事業に関わるコンテンツ開発を将来的に担う可能性のある次代のクリエイターを支援する」というコンセプトの元に2000年から順次立ち上げられた複数の新規事業のうちの一つがイベントフロア運営⇒劇場運営なのです。(他にはイベント製作や映画製作、造形部門、浪速区のご当地ヒーロー「ゼロス」などがあります。)
劇場運営は、その中でも最も古く、
採算性に乏しいながらも稼働(収入)が安定していて、他の新規事業の活動基盤になるという要素もあり、これまで存続して来られました。正直劇場の帳簿をつけている身としては、いつ事業が打ち切られるか…。と何度も思いながら18年ここまで乗り越えて来ました。
今回の移転は、その中でも過去最大のピンチでしたので、覚悟を決めて挑んでいた中での、まさかの新築プラン。
「日本で一番アグレッシブな劇場」はオーナー社長もアグレッシブですww正直、会社としては1stを失う事に大きなデメリットは無い状況です。連携している弊社イベント製作部が使用するのは2ndで、1stサイズの採算を取りづらい劇場を継続するメリットは薄いのです。それでも1stの新築にGOが出たのは、1stのような
スタートアップの劇場でしっかりと種蒔きをして創り手を育てる環境の重要性を理解して貰えているからだと思います。
さらには、お店や劇場を愛してくれるお客様(観客と利用者)の気持ちに応えたいという想い。何より、自分たちに落ち度のない理不尽な理由で場を失うことへの抵抗です。部門に関係なく、弊社は反骨精神とチャレンジ精神に満ちています。
最初にご説明した通り、土地売買・建築ラッシュで、地価も確実に上がってきている中、恵美須町ではある意味これが
新築するとしても最初で最後のチャンスと思われました。新築に舵を切っても、1stを再現する土地を確保するのは至難の業でしたが、意外にも協力者が現れました。
当初、既に立っている物件を改装して劇場化するプランで相談していたとある物件オーナーが、「改装が条件に合わないのであれば、隣接する別の土地を売るので新築するのはどうか」と申し出てくれたのです。
現状の1stとは土地の広さや形状から構造が少し変わる部分があることなど、幾つかの問題はありましたが、これまでで最良の条件が整い、そこに新築することに決定しました。
その後も、融資や契約、土地登記の手続き、設計や建築図面の作成、建築申請など、さまざまな手続きやトラブルが目白押しだったのですが、それはまた別のお話…。
とにかく
昨年秋から本日この発表をするまで、怒涛のような展開がありました。
新1stは、用地取得が完了し建築確認申請の最終段階(建設局より一部修正要求が出て修正再申請済み認可待ち)で、近々建設工事が始まる予定です。当初8月には着工し1月末からの運用を目標としていましたが、土地の登記や確認申請などの事務処理に予定以上の時間がかかり、また建設ラッシュやこのところの災害復旧による建設資材や工事事業者の確保に苦戦し、大幅に工期が延びる事となり、現1stから新1stへのシームレスな移転とはならないことが残念です。(これによって、ご利用のご希望をお断りせざる負えなかった案件がいくつかあり大変残念です。)
オフレコという形でしか、ご説明ご相談出来ない状況に胸を痛めながら、ポーカーフェイスにここまで進めて来ました。現1stを閉じる準備をしながら、新しい1stの建設準備を進め、いつも通りに劇場は運営し、最強の一人芝居フェス「INDEPENDENT」では、海外初進出という大事業も並行して動かしました。その間、某カンパニーの照明プランオペや舞台監督などスタッフワークの仕事も例年以上の数をこなし、まだ完遂はしていませんが、この1年の働きは、本当に自分で自分を褒めてあげたいと思います。そういえばリアルに厄年でしたww
それにしてもこれまで既存物件の改修という形で2軒も劇場を造り、まさかここに来て
新築で劇場を建設する機会に恵まれるとは思ってもみませんでした…。人生何があるかわかりませんね。この流れでもう一軒くらい建てられないかなww
新1stは、新築とはいっても、土地の広さや予算などの条件から何もかもが自由な訳ではありません。そんな中で可能な限り最良の基本設計をしたつもりです。
新築が決定した時に次の1stに向けてイメージしたのは、今の1stがここまで続けてこられた理由です。それはもちろん使ってくれる劇団や創り手がいるからですが、何故1stを求める声があるのか?使用料金が安いから?駅からの利便性が良いから?
いろいろあるでしょうが、実は
完璧ではないから=ちょっと使いづらいからじゃないでしょうか?決して広く無い舞台、絶妙に低いタッパww 片一方にしかない舞台袖。舞台前のトイレ。まだまだあるなww 書いていてどんどん出てくる欠点の数々。でもそれらが致命的ではなく、
使う側の工夫や活かし方でこの空間を楽しめたからこそ1stを使いたいと思ってくれたのでは無いでしょうか?
なので、新1stも完璧な劇場を目指してはいません。というか目指せません。
しかし創り手・スタッフ、そしてお客様の側に立った色々な小さな工夫で、キャパ100以下では日本で最も使い勝手の良い劇場と言われるような劇場を目指して、ここから最後の詰めをしていきます。
「ファースト(最初の)ステップの劇場なのにファースト(最上位)クラスの劇場」これが目指す新しい1stのコンセプトです。
最後に、現1stの閉館発表がこのタイミングまで遅くなってしまいました事をお詫び申し上げます。
劇場運営側としては、新しい1stの目途が完全について、
閉館と新築移転を同時に発表できなければ、閉館というマイナス要素だけが注目され、今後の劇場経営や2ndへの影響が大きく、体制が整うまで発表に踏み切れませんでした。
既に、現1stでの最後の公演が終わってしまい、もう一度使いたかった、もう一度1stに立ちたかった、最後ならば1stであの作品を観ておきたかったという、創り手や観客の皆さまの声に応えられない事を申し訳なく思います。
本日以降に1stで上演される作品は、火曜日のゲキジョウが1週2作品、通常公演があと7本となります。
現1stでの最後の演劇公演は、iPpei「メガネニカナウ4」(11/27〜12/3)となります。
その後、移転に伴う引っ越し準備を進め、最終演目としては、
12/13(木)〜15(土)に1stの歴史と思い出を振り返る少し手の込んだトークイベントを開催予定です。
悲しいイベントではなくめっちゃ楽しい、次に繋がる、盛り上がるイベントにしたいと計画しています。(詳細は今後の続報をお待ちください。1stにゆかりのある沢山のゲストもお招きしたいと思っています。)
是非最後まで多くのお客様にご来場頂き、現1stでの思い出を沢山作って頂ければと思います。
今後の新しい1stの情報にもご注目下さい。
「日本で一番アグレッシブな劇場=インディペンデントシアター」の新たな挑戦が始まります!皆様のご理解とご協力、かわらぬご愛顧を切に願います。
まずは、この宣戦布告をTwitterやSNSで日本中に拡散して頂ければと思います。
インディペンデントシアター劇場プロデューサー:相内唯史